相手から感謝されたときに、お礼に対して謙遜する答えとして日本語では「どういたしまして」という表現をよく使います。
では、韓国語では「どういたしまして」をどう伝えているかというと、実は厳密に言うと日本語の「どういたしまして」に完璧に対応する言葉はありません。
ただし、ほとんど同じようなニュアンスで使われる表現はあります。
この記事では、「どういたしまして」を意味する韓国語について、具体的な例文も交えながら詳しくお伝えします。
いろんな表現を知って、状況や相手、そのときの感情などによって使い分けてみましょう。
一番よく使われる「どういたしまして」
천만에요(チョンマネヨ)
日本語の「どういたしまして」と使い方としては一番類似している言葉です。
천만(チョンマン)とは本来、相手の感謝や褒め言葉を遠慮するときに使う言葉ですが、実際は感謝されたことに対して謙遜に答えるときによく使っています。
천만(チョンマン)は漢字で「千萬」と表し、천만에요(チョンマネヨ)は直訳すると「千萬です」となります。
つまり、「そんなに大袈裟なことではないですよ」という意味で、日本語の「どういたしまして」や「とんでもありません」と近い表現になります。
以前は천만의 말씀(チョンマネ マルスム)、「千萬のお言葉」という表現がよく使われていましたが、천만에요(チョンマネヨ)のように、簡単に表現するようになりました。
“천만에요. 우연히 그렇게 된 것 뿐입니다.(チョンマネヨ.ウヨニ クロッケ デン ゴッ プニムニダ)”
どういたしまして。偶然そんなことになっただけです“천만의 말씀! 다음에 또 부탁해도 괜찮아.(チョンマネ マルスム.タウメ ト プタッケド ゲンチャナ)”
どういたしまして!今度また頼んでいいよ“천만에요. 그보다는 다른 일에 집중하도록 하죠.(チョンマネヨ.グボダヌン タルン イレ チプチュンハドロッ カジョ)”
どういたしまして。それよりほかの仕事に集中しましょう
年上の方に使う「どういたしまして」
별 말씀을요(ビョル マルスムルヨ)
「どういたしまして」という表現の中でこちらもよく使われるフレーズです。
별(ビョル)は「変な」や「大した」を意味し、말씀(マルスム)は「お言葉」を意味する謙譲語で、「そんなお言葉はとんでもないです」という気持ちを伝える言葉です。
この表現は友達の間ではなく、年上の方と話すときやあるいはビジネスシーンでよく使われています。
“이 정도로 별 말씀을 다.(イ ジョンドロ ビョル マルスムル ダ)”
この程度でそんなこと言わなくても“우리 사이에 별 말씀을 다 하시네요.(ウリ サイエ ビョル マルスムル ダ ハシネヨ)”
私たちの間にそんなこと言わなくてもいいよ“별 말씀을요. 제가 좋아서 한 일인데요.(ビョル マルスムルヨ.チェガ チョアソ ハン イリンデヨ)”
どういたしまして。自分が好きでやったことですよ
謙遜した気持ちを伝える「どういたしまして」
별 거 아닙니다(ビョル ゴ アニムニダ)
ちょっとした手助けだけでも、とても感謝されるときがあると思いますが、韓国でそのようなときはこのフレーズを使っています。
별 거(ビョル ゴ)は、「大したこと」を意味し、아닙니다(アニムニダ)は「違います」「ないです」という意味で否定の表現です。
直訳すると「大したことはありません」となり、相手の感謝に対して謙遜して返事をするときに使われる言葉になります。
“정말로 별 거 아니야.(チョンマルロ ビョル ゴ アニヤ)”
本当に大したことではないですよ“별 거 아니니까, 신경쓰지 않으셔도 돼요.(ビョル ゴ アニニカ, シンギョンスジ アヌショド テヨ)”
大したことではないので、気にしなくてもいいですよ“별 거 아닙니다. 다음에도 찾아 뵐게요.(ビョル ゴ アニムニダ.ダウメド チャジャ ブェルケヨ)”
どういたしまして。また来ますね
自分の責任を果たしたときの表現
할 일을 했을 뿐입니다(ハル イルル ヘッスル プニムニダ)
「やるべきことをやっただけです」という意味のこの表現は、少し不愛想な印象を感じさせますが、実際にある程度距離を置きたい人に使う表現でもあります。
ただし、話しているときの語調によっては、相手を謙遜する意味で使うこともあります。
話し手の言葉に注意する必要があるので、多少使いづらいかもしれませんが、意外とよく聞く表現なのでぜひ覚えましょう。
“내가 할 일을 한 것 뿐인걸.(ネガハル イルル ハン ゴッ プニンゴル)”
自分がやるべきことをやっただけだよ“제 할 일을 다 한 것 뿐입니다.(チェ ハル イルル ダ ハンゴッ プニムニダ)”
私のやるべきことを果たしたまでです
ありがとうを使った「どういたしまして」
고맙긴요(コマッキンヨ)
「ありがとう」を意味する韓国語に고맙습니다(ゴマッスムニダ)という表現があります。
この고맙긴요(コマッキンヨ)は直訳すると「ありがとうだなんて」という意味で、「こんなことでありがとうなんていいよ」というようなニュアンスになります。
最後の요(ヨ)を抜いて고맙긴(コマッキン)とすれば敬語でなくなり、友達の間でも軽く使える表現になります。
“이 정도 가지고 뭘 고맙긴요.(イ ジョンド カジゴ モル コマッキンヨ)”
この程度でありがとうなんて“있는 그대로 말한 것 뿐인데 고맙긴.(インヌン グデロ マラン ゴッ プニンデ コマッキン)”
事実のままを言っただけなのに、ありがとうなんて“고맙긴요. 완성되면 저한테도 보여주세요.(コマッキンヨ.ワンソンデミョン ジョハンテド ボヨジュセヨ)”
どういたしまして。完成できたら私にも見せてくださいね
「こちらこそありがとう」という気持ちを伝えたいとき
저야말로 감사해요(チョヤマルロ カムサヘヨ)
相手が感謝していることが、自分にとってもいいことであるときに使えるのがこの表現です。
저야말로(チョヤマルロ)は「こちらこそ」を意味する言葉で、감사해요(カムサヘヨ)は「感謝します」という意味の言葉です。
저야말로(チョヤマルロ)の部分を나야말로(ナヤマロ)に変えると、「僕こそ」のように友達の間で使える表現となります。
“그건 저야말로 감사해요.(クゴン チョヤマルロ カムヘヨ)”
そのことならこちらこそありがとうございます“나야말로 오히려 감사한걸?(ナヤマロ オヒリョ カムサハンゴル)”
こちらこそむしろ感謝すべきだよ?“저야말로 감사드려야 할 입장입니다.(チョヤマルロ カムサドゥリョヤ ハル イプチャンイムニダ)”
こちらこそ感謝すべき立場です
親しい人に使う「どういたしまして」
그런 거 가지고(クロン ゴ ガジゴ)
그런 거(クロン ゴ)とは「そんなこと」を、가지고(ガジゴ)は「~もって」を意味する韓国語で、「そんなことで」という意味になります。
感謝されるほどではないことや、あなたならこれくらいやって当たり前だよ、と言いたいときに使える表現です。
この表現は、友達や学校の先輩後輩のような親しい人に使えるという特徴があるので、仲のいい人からお礼を言われたときにこのフレーズで返答してみましょう。
“뭘 또 그런 거 가지고.(モル ト クロン ゴ ガジゴ)”
なに、それくらいどういたしまして“겨우 그런 거 가지고 그러니.(ギョウ クロン ゴ ガジゴ クロニ)”
そんなことぐらいでそこまでしなくていいよ“그런 걸로 인사까지 할 필요는 없어.(クロンゴルロ インサカジ ハル ピリョヌン オプソ)”
そんなことであいさつまでくる必要はないよ
友達に使える「どういたしまして」
친구 좋다는 게 뭐니?(チング チョッタヌンゲ モニ)
友達から感謝されたときに使うとピッタリなフレーズがこれです。
「友達」を意味する친구(チング)を使った表現で、意味は「友達だろ?」という質問になり、お互いが友達であることを強調する言葉です。
いつも一緒にいる友人に使うと、さらに仲を深められるとても素敵な表現です。
“친구 좋다는 게 뭐냐! 맘편히 부탁해.(チング チョッタヌン ゲ モニャ.マムピョニ プタッケ)”
友達だろう!気楽に頼んでいいよ“친구 좋다는 말이 정말 맞구나.(チング チョッタヌン マリ ジョンマル マックナ)”
友達がいいという言葉って本当だね“친구 좋다는 말 몰라? 너도 날 도와주면 되지.(チング チョッタヌン マル モルラ.ノド ナル ドワジュミョン デジ)”
友達だろう?お前も僕を助けてくれればいいじゃん
まとめ
韓国語には「どういたしまして」と正確に対応する言葉がないため、場面によって言葉を使い分ける必要があります。
少し難しいこともあるかもしれませんが、自分の気持ちをきちんと伝えるためにも覚えておきましょう。