上下関係が意外と厳しい?!年上の女性に対する「お姉さん」の呼び方。年下の女性には?

韓国好きな方は、好きな歌手の曲を聞きながら、韓国語を勉強している方も多いのではないでしょうか?今は沢山のアイドルが日本で活躍していますが、早くから日本で活躍していた韓国歌手といえば、東方神起やBoAなどがあげられます。そして2009年に日本での活動を始めたSHINee(샤이니/シャイニー)も、日本で大人気のアイドルグループの一つです。彼らのデビュー曲は、「누나 너무 예뻐(ヌナ ノム イェッポ)=お姉さんはとてもキレイ」というタイトルだったことはご存知でしょうか?この「누나(ヌナ)」は、年上の女性に対して男性が親しみを込めて呼ぶ時の言葉で、多くの韓国人女性が、この曲に夢中になったといいます。この「お姉さん」という意味を持つ言葉について、ご紹介します。

●男性が年上の女性に対して使う「お姉ちゃん」

 

누나(ヌナ)

누나(ヌナ)は、韓国人男性が年上の女性を呼ぶときの言葉です。発音も日本人にとっても難しくなく、カタカナで「ヌナ」と読んだ、そのままが正しい発音です。
この누나(ヌナ)という言葉は、例えば3歳くらいの小さな男の子が、自分の本当のお姉さんや、近所に住んでいる5歳くらいの女の子を呼ぶ時も使いますし、40歳の中年男性が自分のお姉さんのことを呼ぶ時も、使います。
日本語でも、「お姉ちゃん」という言葉を使う時に、前に名前を付けて「さやかお姉ちゃん」などと言うこともありますが、それは韓国語でも同様で、例えば「은지누나(ウンジヌナ)」などと、呼ぶことも出来ます。
一方、日本語では、名前が「さやか」であれば、その「さや」だけをとって「さやお姉ちゃん」と呼んだり、「さーや姉ちゃん」などと呼ぶこともありますが、韓国語ではこのように名前を短くしたり、何かニックネームをつけたり、ということはほとんどありません。
この누나を使う対象の相手としては、自分の本当のお姉ちゃんはもちろん、仲良くなった先輩のような関係にあたる年上の女性が多いといえます。
また、恋人同士でも彼女が年上の場合には、彼氏が彼女のことを「누나(ヌナ)」と呼ぶこともありますが、「そう呼ばれると、彼氏よりも自分が年上なのがばれてしまう」という理由で嫌う女性もいて、その場合には、ただ下の名前で呼ぶようになるようです。

使い方
・누나 너무 예뻐(ヌナ ノム イェッポ):お姉さんはとてもキレイ【曲のタイトル】
・지은누나! 오늘 시간이 있어?한잔 하자!(ジウンヌナ!オヌル シガニ イッソ?ハンジャンハジャ!):ジウンお姉ちゃん!今日、時間ある?一杯やろう!
・누나 같이 가자!(ヌナ カッチ カジャ!):お姉ちゃん、一緒に行こう!

●女性が年上の女性に対して使う「お姉ちゃん」

 

언니(オンニ)

언니(オンニ)は、女性が年上の女性を呼ぶ時の言葉です。発音するときは、最初の「オ」に注意が必要です。
日本語の「オ」のように、口をすぼめたまま発音するのではなく、「ア」を発音する時のように、口を少し開けて「オ」という音を出すようにします。
누나(ヌナ)と同様に、小さい女の子から年配の女性まで、幅広い年代の人が使うことのできる言葉です。
学校の先輩はもちろん、同じ職場の先輩に対しても親しい間柄になれば使うことができます。
韓国語の勉強をし始めたばかりの方は、どうして本当の「おねえちゃん」ではないのに「お姉ちゃん」と呼ぶのか、不思議に感じる方も大勢いらっしゃると思いますが、韓国人は日本人よりも、年齢などの上下関係が厳しいことで知られています。
しかし一方で、仲間同士では水臭いことを嫌い、一度仲良くなれば家族のように親しく接することを好みます。
そのことから、年上であることは尊重しつつ、親しみを込めて「お姉ちゃん」などと、本当の兄弟姉妹のように呼び合うようになったのかもしれません。
しかし、年上の女性に対して、みな「お姉ちゃん」と使っていると、一体それは誰なのか、分からなくなってしまうので、누나(ヌナ)と同様に언니(オンニ)の前に名前を付けたり、本当のお姉ちゃんのことを他人に話す時は、「친언니(チンオンニ)」と言って、区別したりします。
친は、漢字では「親」と書き、まさに同じ親の血が流れる、「実の」お姉ちゃん、ということを表します。누나についても同様で、친누나(チンヌナ)とも言います。

使い方
・유리언니 생일축하해요!(ユリオンニ センイル チュッカヘヨ!):ユリお姉ちゃん、お誕生日おめでとうございます!
・언니랑 일본 가고싶어요.(オンニラン イルボン カゴシポヨ):お姉ちゃんと日本に行きたいです。
・친언니가 결혼했어!(チンオンニガ キョロンヘッソ!):実のお姉ちゃんが結婚したの!

●夫の姉に対して使う「お姉さん」

 

형님(ヒョンニム)

日本においては、自分の夫にお姉さんがいた場合には、「お姉さん」と呼びますが、韓国語では、언니(オンニ)ではなく、「형님(ヒョンニム)」と呼ぶ必要があります。
형(ヒョン)だけでは、男性が年上の男性を「お兄ちゃん」と呼ぶ時の言葉になってしまうのですが、「~様」のような意味合いを持つ「님(ニム)」という言葉と合わせることで、義理のお姉さんを呼ぶ時の言葉になります。

また、自分の夫に兄がいた場合、その奥さんのことも형님(ヒョンニム)と呼びます。

使い方
・형님 식사 하셨어요?(ヒョンニム シクサ ハショッソヨ?):お姉さん、お食事はされましたか?
・형님 갔다오겠습니다.(ヒョンニム カッタオゲッスミニダ):お姉さん、行ってまいります。

 

●外で누나や언니を使う場合

누나(ヌナ)や언니(オンニ)は、その他にも、お店などの店員さんに対しても使うことが出来ます。
例えば、17,8歳の女の子が、洋服屋さんに買い物に行き、「ほかのサイズはありますか?」などと、20代くらいの店員さんに声をかける時は、「언니(オンニ)」と呼びかけることが出来ますし、40代くらいの男性が、屋台でお酒を飲んでいる時に、少し年上に見える女性の店主に声をかける時には「누나(ヌナ)」と呼びかけることが出来ます。

いずれも、お店が小さい場合などアットホームな雰囲気のお店で、そのあとももしかしたら世間話が続くかもしれないと想定されるときに多く使われます。
日本でも、小さなスナックの女将さんを「ママ」と呼ぶのと、似たような感覚かもしれません。
しかし、使うシーンを間違えると「お姉ちゃん」と親しく呼んでしまうことが失礼にあたることもありますので、注意が必要です。
一方、日本ではお店で、明らかに自分よりも年下に言える女性に対しても「お姉さん」と呼びかけたり、道を歩いていて落し物をしてしまった年下の女性にもとっさに「お姉さん、忘れ物ですよ」と声をかけたりすることがあると思います。
明らかに、年下に見える人に対しては、韓国語では「누나(ヌナ)」や「언니(オンニ)」は使いません。
この場合は「お嬢さん」という意味の아가씨(アガシ)を使うことが多くなります。

使い方
・언니 혹시 다른 사이즈 있어요?(オンニ ホクシ タルン サイズ イッソヨ?):すみません、お姉さん。ひょっとして、違うサイズありますか?
・누나 소주 더 한병 주세요.(ヌナ ソジュ ト ハンビョン ジュセヨ):お姉さん、焼酎もう一本下さい。
・아가씨,조심해!(アガシ チョシメ!):お嬢さん!気を付けて!(道端で転びそうになった、年下の女性を見かけた時など)

●まとめ

いかがでしたでしょうか。韓国語には、いろいろなパターンの「お姉さん」という言葉があります。韓国は、日本よりも上下関係や年齢を気にする文化ですので、使い方には気を付けたいところです。
特に、男性が使う言葉、女性が使う言葉、という概念が日本語にはないので、初めは少し混乱すると思いますが、慣れてくると、「누나(ヌナ)」や「언니(おンニ)」と、呼ぶことも、呼ばれることも嬉しく感じられるようになると思います。